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季刊「中国総研」
自転車と地域・まちづくり
今、自転車ブーム。東日本大震災以降、身近に自転車を感じる人は多いのではないか。自家用車に比べて移動手段として便利、単なる移動手段ではなく自転車が目的となり多様性に富んでいる、環境への関心、経済的・健康的、といった理由からだ。中心部において自転車利用の促進はコンパクトシティの形成、市内観光・娯楽産業の活性が期待される。国内で唯一、自転車で渡れる高速道路橋として人気の「しまなみ海道」では、自転車イベントが催され、千人規模の集客を誇る。こうした事例は中山間地域の活性化にも大きな可能性がある。近年このように都市部や中山間地域において、自転車を他の交通手段と同等に位置付け、まちづくりを進める事例が増えている。そうした事例や取り組み、自転車の持つ地域・まちづくりの可能性を考える。
ロボットテクノロジー(RT)を活用した地域産業・社会の高度化とRT産業の創出
世界のロボットの3割強は日本国内で稼働、およそ7割を日本企業が製造しているが、ほとんどは製造現場で使われる「産業用ロボット」だ。産業用ロボットの導入が始まってから40年が経ち、わが国の人口・社会構造が大きく変化する中で、従来の製造業分野だけでなく、医療・福祉、オフィス、交通、農業などの分野や一般家庭においても、ロボットテクノロジーを活用する新たなサービス創出の機運が高まってきた。3月に発生した東日本大震災では、人間が作業できない環境下で働く特殊作業用ロボットがクローズアップされた。日本人は鉄腕アトムなどのアニメの影響があり、ロボットに対して親近感を持つと同時に、「ロボット=ヒューマノイド型で万能」というイメージも抱きがちだが、ロボット導入の検討現場では技術とニーズとの間にギャップも見受けられる。本稿ではロボットテクノロジーに関わる産学官の関係者に、各分野での取り組みの現状と課題、方向性について幅広く論じていただいた。
スローツーリズムの胎動
2008年に発足した観光庁は、ニューツーリズムを重要施策の一つに位置付けている。スローツーリズムは、ほぼニューツーリズムと同義で使用され、類似の概念としてエコツーリズム、アグリツーリズム、グリーンツーリズムがある。スローという言葉には、地域の人々と触れあいながら、ゆっくりと地域資源の価値を認識し享受するという「観光の姿勢」が込められている。スローツーリズムの特性は、地域外から人を呼び込む「観光」の側面と、地域の自然・歴史・文化の再発見という「地域づくり」の側面が融合している点にある。従って、地域の行政・観光協会など公的団体だけでなく、地域に深い愛着を持つNPOや住民の取り組みが不可欠、また、旅行会社との連携も必要になる。中国地域でスローツーリズムに取り組むNPO、旅行会社、団体、行政などそれぞれの立場から、その可能性・課題などについて論じていただいた。
航空自由化時代の地方空港
国際航空の自由化に伴い、国内航空は2000年の改正航空法による規制緩和の実施で、新規航空会社の参入や運賃の低廉化が進んだものの、航空会社の経営や地方空港の運営は厳しさを増している。地域においては、空港の利用促進に積極的に取り組むほか、新興のLCCをはじめとする国際線の就航に注目したり、国においては、地方空港を含めた空港の民営化とともに、空港整備の特別会計制度の廃止を方向付けたりしている。中国地方の各空港においては、広島西飛行場への就航路線がなくなり、石見空港の大阪便が運休予定である一方、岩国空港の民間航空再開が計画されるなど、各空港ともに利用促進が求められている。これら地方の空港・航空問題について議論を深めるため、わが国の空港・航空に関する新たな動きも踏まえ、地方空港の現状・課題や今後のあり方などについてさまざまな観点から論考をいただいた。
転換点を迎えた農業の新たな可能性
わが国の農業経営体数は5年前に比べて33万経営体(16.4%)減少、販売農家の農業就業人口についても同74万6千人(22.3%)減少するなど、5年という短期間で急速に担い手を失っている。こうした中、現政権では戸別所得補償モデル対策など、農業の再生に取り組んでいる。また、各地域では、農商工連携による新たな産業の育成、都市農村交流など観光と連携して地域の活性化に結び付けようとしている。さらに、他産業からの農業への参入、企業的な経営による新たな農業の可能性にチャレンジする事例もある。近年の食の安全性に対する消費者意識の高まりを背景に、農業はビジネスチャンスを創出する可能性も秘めている。本特集では農業を取り巻く環境変化を踏まえながら、官民における新たな取り組みが地域に与える効果および影響などをさまざまな立場の方からご寄稿いただいた。
コンテンツ・ツーリズムの推進
2010年6月に公表されたわが国の産業構造ビジョンでは、これから日本が稼ぐべき産業の5分野が示され、その一つにファッション、コンテンツ、食、観光などの文化産業が挙げられた。長らくサブカルチャー的だったマンガ・アニメが、今日ではクリエイティブな産業として位置づけられ、外貨獲得産業の柱になっている。このようなマンガ・アニメなどのコンテンツを、観光(ツーリズム)の視点からとらえることによって地域振興に活用するさまざまな動きを取り上げた。中国地域においてコンテンツ・ツーリズムに取り組む現場の方々からご寄稿をいただいた。
普及期を迎える太陽光発電 -太陽電池産業の可能性と地域戦略-
消費者の環境意識、行政の導入支援、企業の開発・生産体制などの条件が整い、太陽光発電は本格的な普及段階に入っている。中国地域では技術親和性が高い半導体・FPD関連産業や素材産業を中心に、これまで培ってきた生産技術を応用展開できる有力な成長分野として、太陽電池産業に対する期待と関心が高まっている。しかし、競争も激しさを増している。急速に台頭してきた中国や台湾等のアジア諸国との関係や、さまざまな種類や製造プロセスが提案されている太陽電池間の開発競争の中で、地域としてどのような方向性・戦略を持って太陽電池産業の創出・振興を図るべきかが問われている。太陽電池に関わる関係者に各分野での取り組みの現状と課題、方向性について幅広く論じていただく。
地域における低炭素化の推進
二酸化炭素など地球温暖化の原因となる温暖化ガスに関して、鳩山総理が2020年までに温室効果ガス削減(90年比で25%)を表明した。現在、工場など産業部門では対策が進んでいるが、家庭からの排出量は増えている。人為的な温室効果ガスが原因である確率は9割を超えると報告され、対策の必要性に対する国内外の認識は高まっている。わが国の温室効果ガス排出量の動向、産業部門の取り組み、行政施策を紹介しながら、地域における低炭素化の推進について、この分野の第一線の方々に論じていただく。
どっこい頑張る商店街
近年、商店街の衰退による空き店舗化、シャッター通り化が大きな社会問題となっている。商店街の衰退は、地域の活力や地域コミュニティの弱体化につながるばかりでなく、治安悪化を招く恐れもある。まちの中心部にありながら遊休資産化することから、地域マネージメント上、大きな損失でもある。こうした中、中国地方において、さまざまな取り組みによって大きな成果を上げつつある商店街が存在する。抜本的な小売販売額、購買客・観光客数などの向上にはつながらなくても、生き残りや別方向の地域づくりに向けて懸命に頑張っている、実は「どっこい生きている」商店街。こうした取り組みを続ける中心商店街の事例、動向を分析することで、商店街や中心部、さらには都市やまちのあり方、将来像、まちづくりの手法がみえてくるのではないか。
次世代エネルギーによる地域活性化
世界的な次世代エネルギー振興への対応、それを活用した経済と環境の両立推進に際して、中国地域はどのような取り組みのもとに、今後の進むべき方向を見極めるのかが重要な課題となっている。季刊中国総研48号は、次世代エネルギーによる地域活性化を特集し、地域におけるさまざまな次世代エネルギー振興に向けた取り組みを紹介する。
組込みソフトウェアの高度化とものづくり
中国地域の基幹産業である自動車、電気機械、一般機械産業等において、組込みシステムは欠かすことのできない技術要素となっている。こうした組込みソフトウェアの高度化とものづくりをテーマに、実際にビジネスの最先端でその開発に携わっている企業の取り組みを紹介し、標準化や国際規格、プロジェクトマネジメントについて考える。また、急速に進む動向・変化に対して、地域の側から見た課題や取り組み、人材育成等の必要性も紹介する。さまざまな製品・機器に組み込まれ、われわれの生活を陰で支えている組込みソフトウェアの開発の現状・課題を知り、地域の新たな成長産業としての組込み関連事業の可能性や、これらを地域で創出・育成していくための方向性について論じる。
広島県における産業振興と地域づくり
「季刊中国総研」は特集のテーマに、中国地方の特定の地域に焦点を当てた地誌的な情報を発信している。2005年から鳥取県、島根県、岡山県、山口県を対象とし、今回、各県特集の締めくくりとして「広島県」を、多様なテーマから地域の現状と課題を浮き彫りにする。具体的には、広島県における産業振興と地域づくりに焦点を当てて、学識経験者、行政担当者から論考をいただくとともに、当研究センターのスタッフによるレポートを取りまとめた。
中山間地域対策としての、二地域居住
依然として、中山間地域から都市部への人口集中傾向が続いている。現状の中山間地域の定住対策も空き家バンクなど民間分野が中心となっており、十分な公的対策が打てなくなっている。都市部への人口偏在傾向が続き、かつ全国が人口減少に向かう中で、中山間地域の「人口」を受け入れる可能性として「二地域居住」が注目される。本特集では、「都市部と中山間地域を行き来する多様な住まい方」と定義し、「二地域居住」を肯定的にとらえ、属性や期間を含めて幅広く考える。例えば季節居住、週末居住、ロングステイ、農家民泊、お試し暮らし、別荘、古民家改修などの多様な住まい方、さらには、中山間地域から転出した住民がかつての住宅(空き家)・農地を一時帰宅しながら維持する例など、「二地域居住」の可能性について論じる。
山口県の発展を考える
2007年の島根県、2008年の岡山県に続く、山口県特集号である。素材型産業の集積、中小都市による分散型の都市配置、中山間地域問題など中国地方の特徴を備えた典型的な県といえる。東に広島県、西に福岡県というブロック中枢県に挟まれ、両県の中枢機能の影響を受けながらも、ものづくり産業に強みをもち、観光面でも特色のある資源を有している。近年はアジアの成長に伴い、輸出も急増し、この10年間の伸びは2.3倍と岡山、広島両県を上回り、絶対額でも中国地方のトップにいる。このように経済が比較的好調な時期に、足元を見つめ直し、今後の発展方向を考えるための論点整理を行った。
環境と産業
バイオマス・ニッポン総合戦略推進事業など中央の施策に応じて、中国地域の地方自治体でも、環境と産業の融合を図る施策やまちづくりが進められている。企業では社会的責任(CSR)として、環境への取り組みを新たなビジネスチャンスと考え、新事業を展開している。地球規模の環境問題は、環境保全と経済活動をいかにバランスよく執り行うか、あらゆる活動主体に共通の課題となっている。周知の通り2005年2月16日に発効した京都議定書により、日本では2008年から2012年の間に1990年比で6%の温室効果ガス排出量の削減が必要である。環境と産業の両面への具体的な取り組みを紹介し、中国地域における地域環境と経済活動の融合についてさまざまな角度から考えたい。
岡山県の都市づくりと産業振興
中国地方の特定の地域に焦点を当て、地誌的な情報を発信する地域特集号。「鳥取県のすがた(2005 vol.9-4 NO.33)」、「島根県の現在(2007 vol.11-1 NO.38)」に引き続き、「岡山県」を対象に地域の実像を把握した。今回は特に岡山県における都市形成や産業・観光振興などを中心にレポートが集まった。地域特集号としての「季刊 中国総研」が、対象地域のみならず、広く中国地方における地域研究の参考となる情報を提供できればと企画した。
新しい観光
観光形態は従来の名所旧跡見物型の「見る」観光から、「体験・学ぶ・癒す」など新しいタイプに移行している。滞在時間や価格帯がさまざまで、交通手段が広がり、これまでのリフレッシュ、食、学習、土産物購買などに加えて、体験学習、エコツーリズム、農作業ツアーなど多様な目的がみられる。また、産業観光、ロケ地めぐり、スローライフなど従来の観光では観光と言えなかった資源も観光となりつつある。中山間地域においては、地元消費額の増大だけでなく、地域の誇りや元気さにつながることが強調され始めている。本特集では、中国地方における「新しい観光」の事例と地域振興との関わりについて探る。
経済成長戦略と新たな産業政策
わが国および地域の経済はバブル崩壊後の長期的な経済低迷を脱し、地方分散政策に代わって新たな産業政策の展開が本格化している。経済産業省は国際競争力の強化と地域経済の活性化を2本柱とする「新経済成長戦略」(2006年6月)を取りまとめ、政府は「経済成長戦略大綱」(同年7月)を決定し、2007年4月には「経済成長戦略大綱関連3法」が成立した。本特集は経済成長戦略の実現に向けた新たな産業政策として、イノベーションによる生産性向上や国際競争力の強化と地域経済の活性化に向けた施策について概観するとともに、具体的な取り組みを取り上げ、中国地方の産業が有するポテンシャルを再認識する。
地域ファンドによる新事業創出
フロントランナー型に移行したわが国経済にとって、経済成長の先鋒役として中小・ベンチャー企業が期待されている。こうした経済構造の変革を支えるものとして近年、注目を集めているベンチャーファンドは、その投資額を着実に増加させている。今後5年間で2千億円程度の資金枠を確保した「地域中小企業応援ファンド」創設の方針が経済産業省より打ち出され、ファンド組成に向けて追い風が吹く。本特集はファンドの有効性や課題について多面的に論じ、中国地域におけるファンドを活用した新事業創出の気運醸成を図ることを企図した。
島根県の現在
中国地方の特定の地域に焦点をあてた論考集として、33号の「鳥取県のすがた」に引き続き、「島根県」を対象とした。島根県の産業振興、観光、人口定住、中山間地域問題など多様なテーマから地域の実像を把握し、考察したレポートを取りまとめた。地域特集号としての「季刊 中国総研」が、対象地域のみならず、広く中国地方における地域研究の参考となる情報を提供するものとなればと企画した。
広島の創造都心
芸術文化にかかわる諸活動が地域の創造性を育み、ひいては産業イノベーションにもつながる役割を果たすという視点に基づき、「広島の都心」に焦点を合わせた。 都心は、密度の高い商業空間だけでなく、文化機能や自由度の高い公共空間があり、何か面白いことを発見する楽しみや、思わぬ出会いというハプニングを期待して、人々が集まり刺激を受ける場である。芸術文化・産業・まちづくりなどの相互関係や相互作用、具体の事例から、創造都市づくりの広島型の方法論について考える。
行政評価の、今
行政評価は、行政の施策や事務事業を「市民(住民)にとっての効果は何か」、「当初期待したとおりの成果が上がっているか」という視点から客観的に評価・検証を行うことだ。近年では、自治体の行財政改革の柱として位置づけられる場合もあり、自治体レベルで大なり小なり導入されているが、行政評価の普及・発展は、中国地方の自治体ではあまり進んでいないのが現状ではないか。「行政評価」をめぐるさまざまな動向や課題・可能性について、実例を挙げながら考える。
道州制がめざす分権型社会
「平成の大合併」が一段落し、次のステップには広域自治体としての都道府県の再編が必要だといわれる。第28次地方制度調査会は2月28日の「道州制のあり方に関する答申」において、広域自治体制度の将来像を示した。こうした状況を踏まえ、今後の具体的な議論を進めるために、道州制とは何か?道州制で何が変わるのか?といった基礎的な議論を整理し、全国の各主体の道州制に向けた取り組みを概観することで、道州制によりどのような分権型社会をめざしていくのかを考察する。
地域を担う人材の育成
2007年問題を間近に控えた危機意識だけでなく、中長期的にみて、企業や産業の競争力を支えるのは、人材以外にないと考えられる。企業だけでなく地域にとっても同様で、地域の競争力を維持し向上させるのにも人材育成が必要ではないか。本特集では企業、大学、行政など各方面の専門的な立場から、地域を担う人材の育成について論じる。
鳥取県のすがた
新しい試みとして中国地方の特定地域に焦点をあて論考する地域特集号。その第一弾は「鳥取県」を対象に産業構造、人口動向、地域間交流、都市の魅力、まちづくりなど多様なテーマから地域の実像を把握する。当研究センターの所内スタッフのみによって執筆していることも初めての試み。
人口減少の影響と新たな“地域のかたち”
わが国の総人口は2006年をピークに減少に転じるといわれており、中国地方は四国地方と並んで人口減少が先行的に進んでいる地域である。将来的にみても、人口減少が進む中で自立性を確保することが困難な地域が増加することが予想される。本稿では研究者、行政の方々がさまざまな視点から人口減少の進展がもたらす影響について提示し、人口減少の中で生き残り、持続可能性を持つ新たな“地域のかたち”をさぐる。
「地域の創造性」を育む芸術文化
1980年代の一級の文化施設により「都市格」を競った時代から変わり、昨今、「クリエイティブ・シティズ(想像都市)」という概念が登場している。芸術文化は、経済活動と対極の位置にあるとする見方から、今日ではそれに関わる人々が集まり交流することで、地域の創造性を育み、産業イノベーションを促す都市機能を持つという捉え方に向かっている。本稿は研究者をはじめ専門的な立場から芸術文化の今日的な役割や可能性について論じる。
『小さな自治』へのさまざまな取り組み
現行合併特例法の適用による「平成の大合併」で市町村合併が進んでいる。広域行政の広域化や地方分権の進展に伴い、これまでの行政主導型から住民協働型のまちづくりに注目が集まり、「小さな自治」への取り組みも急増している。本稿では研究者、行政の方々が過疎・高齢化など深刻化する地域課題の現状を通して小さな自治の可能性について論じる。
東アジア地域の経済発展と地域経済の活性化
アジア地域で経済連携を模索する動きが活発化する中で、わが国の地域レベルにおいても「空洞化議論」を超えて中国などとどう向き合っていくかを考える必要があり、東アジア地域の経済発展は地域経済の閉塞感を打ち破る好機になり得ると期待されている。本稿では国内外の研究者、東アジア地域でビジネスを展開している方々が、アジアの経済活力を地域経済の発展につなげていく考え方や仕組みについて多様な観点から論じる。
新産業創出を支援するコーディネート機構
中国地域の得意とする加工組立型製造業は、海外進出に伴う産業空洞化・技術空洞化が進展している。今日、大学や企業では産学官連携を地域経済活性化のキーワードの一つとして捉え、コーディネート活動に力を注ぎ始めた。こうした新産業創出を支援するために、本稿では地域のさまざまな経営資源をつないで生かすコーディネート機構に携わっている方々が、国の中小企業支援策、民間レベルでの活動実態、課題、今後の活動意向等を多様な観点から論じる。
今後の社会資本整備のあり方
「社会資本整備重点計画」の閣議決定(平成15年10月)に象徴されるように、「官から民へ」「国から地方へ」の考え方に立って、地域の自立的発展を支える重点的・効果的・効率的な社会資本整備システムの構築が求められている。本稿では研究者、行政実務担当の方々が、公共事業を中心とした社会資本整備の今後のあり方を多様な観点から論じる。
若者の雇用を考える
新規学卒者を採用し長期的に雇用する、日本をはじめとする数カ国に特徴的な雇用制度は、フリーターや無業者の増加が示すとおり、近年崩れつつある。失業問題のみならず、さまざまな社会問題を抱える現代にあって、若者の職業に対する考えや現実を描きながら、彼らを採用する企業、教育し社会へ送り出す大学、そして雇用環境を整備する行政など、幅広い関係分野から、若年者雇用についての変化や新たな動きを論じる。
バイオマス循環型社会の形成
地球温暖化の今日、温室効果ガスであるCO2の排出削減が急務となっている。再生可能なエネルギー源としてバイオマス資源が注目されているが、その利活用において収集システムの確立の必要性等の問題を包含している。幅広い関係分野からの寄稿によりバイオマス資源の利活用を通じた地域振興の可能性を紹介する。
企業・団体などの「住民参加」による地域活性化
住民参加、市民参加、住民主導のまちづくりなどの言葉が盛んに使われ、とりわけ住民参加を行政の施策・事業等に盛り込むことが一般化している。本稿では狭義の市民・住民ではなく企業・団体などが主導した「住民参加」をテーマとし、取り組みの内容や仕組みなどを、事例を通して紹介する。
地方公共交通の再構築
重大な岐路に立たされている「地方公共交通」。モータリゼーションの進展は大都市圏より地方に著しく目立ち、財政難と公共性の狭間で、交通需要の乏しい地域から公共交通の撤退が進んでいる。これら地方公共交通をとりまく問題について、幅広い関係分野からの寄稿により、さまざまな取り組み・事例とともに論じる。
中国地域におけるグリーンツーリズムの、今と将来
グリーンツーリズムが、観光、教育、産業、過疎、生きがい、生涯学習、地域保全、管理などさまざまに展開し始め、とりわけ、過疎問題の先進地とされる中国地域の事例の中に、可能性が見えてくるのではないかと考える。本稿ではグリーンツーリズムとして、特に明確な概念規定をしているわけではなく、むしろ都市農村交流といった曖昧な言葉として捉えながら、グリーンツーリズムの今と将来を、今一度考え直す。
地域通貨と地域活性化
NPO活動と連動する「地域通貨」を特集する。地域通貨とは、国が定めた法定通貨とは別に、用途や目的を限定して、地域やコミュニティ内で、自発的なサービスの交換・循環のための仕組みや通貨を意味した言葉。ふれあい切符(旧ボランティア切符)、時間預託制度(タイムダラー制度)、LETS(地域経済信託制度)、エコマネー(コミュニティ、エコロジー、エコノミーからの造語)など多様なタイプがある。本稿ではその一部を事例とし、特に都市部、中山間地域、島嶼部など多様な地域通貨について論じる。
地域の知識創造に資する社会人大学院
本稿は2000年4月に開校された広島大学・社会人大学院の1期生の方々の修士論文をもとに少しアレンジしてご寄稿いただいた。マネジメント専攻の大学院生には、その名称のとおり、組織、経営、財務などの専攻が多いが、今回は、地域産業、地域振興、地方行政などにかかわるテーマの論文を紹介する。もともとの論文を短く再構成しているため、うまく伝わらないところがあるかもしれないが、「理論と実践との相互作用を図りながら、高等教育機関と産業界との往復型社会形成に資する」というマネジメント専攻の設置の趣旨に沿った取り組み意識は十分伝わってくる。
地方の時代と国の地方機関
2001 年1月の省庁再編後、国の地方機関が一段と元気であるような気がする。これは予算の執行の仕組みが少し変わったことやその直後に発足した小泉純一郎内閣によるタウンミーティングなどの影響かもしれない。中国総合通信局、財務局、農政局、経済産業局、整備局といった国の地方機関の元気な取り組みを紹介してもらうことによって、いやおうなく迫られる地方試練の時代における当研究センターの調査機関としての役割を考える材料にしたいと思い、「地方の時代と国の地方機関」を企画した。
地方都市の都心再生と活性化
地方都市における中心市街地の空洞化は、30年来緩やかに進行してきたが、この10年間で加速され危機的な局面を迎えている。空洞化はモータリゼーション、流通革新、都市計画手法などの諸問題が複合化され、社会システムとして引き起こされた根の深い問題であり、中心市街地の再構築は当面の「対策」で解決するほど簡単ではない。本稿では今日の中心市街地空洞化の構造的な把握を行い、再構築に向けての基本的な考え方や取り組みの実際について紹介する。
起業の時代
地域の新たな活力源として起業に対する関心が高まっており、SOHOやコミュニティビジネスなどの取り組みが始まった。新産業育成のために「大学発ベンチャー」の重要性も強調されている。本稿では企業、大学、行政など各方面の専門的な立場から、「起業」ついて論じる。
地方における行財政改革に対する取り組み
マネジメントとは、戦略、内部管理、外部マネジメントという3つの要素を組織運営の基本とすることとされるが、企業にとってはそうしないとやっていけないという意味で、いわば当然ともいうべき行動原理がわが国の行財政システムにおいてもようやく本格的に求められているのだといえる。本稿は中国地方各県における行財政改革への取り組みを3人の方にご寄稿いただいた。シンクタンクから中国地方のある県への出向経験を踏まえた身近な視点からの論評、「行政改革フォーラム」のメンバーが実務を通した問題意識からの論考である。
「都市対地方」の対立を超えて
経済のグローバル化、少子・高齢化、財政制約などの問題が深刻化する中、「都市対地方」の問題がより一層議論されることとなった。公共事業のあり方や地方交付税の是非をめぐって地方が一方的に非難されることがあるが、地方と都市とのより適切な連携を図っていくためにも、都市と地方の関係のあり方をもっと検討していくことが重要と考えられる。
21世紀の環日本海時代を考える
21世紀を迎え、環日本海交流をめぐる新たな段階への進展が期待されながらも、わが国はいまだ深刻な調整過程のさなかにある。日本海対岸地域においても、着実な経済発展を遂げつつある地域がある一方で、安全保障問題をはじめ、アジア経済危機の後遺症や国内における地域格差の発生など多くの問題を抱えたままだ。しかし、わが国と日本海対岸地域との関係が今後とも深まるであろうことは確実だ。本稿では21世紀の開始にあたり、それぞれの地域における環日本海交流の現状と課題を踏まえ、今後の方向を検討する。
地域産業活性化再考
自立的・自律的な地域の形成に向けて、いかに地域産業の活性化を図っていくか。情報通信技術の普及に伴って空間的な制約が緩和され、地方においても、さまざまな産業の展開を期待する見方がある。さらには“産業”そのもののとらえ方が変容していくことも考えられる。世紀の変わり目にあたり、これまでの地域産業政策の現状と課題、産業構造の変化、地域における新たな“芽生え”などを踏まえながら、今後の地域産業活性化の方向を考える。
地域情報化の可能性と展望
地域情報化は、都道府県による公共ネットワーク整備が本格化し、一定程度の評価が可能になった。同時に、次段階である市町村レベルの情報化について展望を示す時期にあると考えられる。こうした視点から中四国地域を中心に地域情報化の可能性と今後の展望について、研究者、行政、企業がそれぞれの立場から論じる。
本四3橋時代の現状と課題
1988年に瀬戸大橋が開通後、98年に神戸淡路鳴門自動車道が、99年には瀬戸内しまなみ海道が開通した。これらは、中国地方と四国を直結する自動車専用道路・鉄道併用橋、関西と四国を結ぶ自動車専用道路、瀬戸内海の島々を経由して中四国を結ぶ歩行者・自動車専用道路を併設した自動車専用道路というように、それぞれ異なった特色をもっている。本格的な本四3橋時代を向かえ、現状を検討するとともに架橋効果を積極的に導き出していくよう地域の主体的な取り組みが求められる。
都市のにぎわい
「都市(都心)の再生」や「都市のにぎわい」には相互に関連するものがある。ひとつは都市づくりの方向転換、そしてもうひとつは人々の意識や行動にかかわる問題である。昨年6月、経済企画庁物価局の「コスト体系の変化と経営・生活スタイル研究会」が土地神話の崩壊、少子高齢化の進展、高度情報社会への移行に対応して、コスト低減の観点から人々の生活や企業活動はどのようになるかを検討し報告書にまとめた。本稿はこのテーマのもと、大学、マスコミ、行政担当がそれぞれの立場から論じる。
中国地方におけるNPOの可能性
近年、NPOへの関心が急速に高まってきた背景には、多くの住民が従来の営利企業、行政組織では「公益」を実現できない、実現されないことに気づき始めたからではないだろうか。また、市民が自らの手でサービス提供者になる可能性と発意に気付き始めたからではないだろうか。現在、NPOの活動分野は、保険・医療・文化・スポーツ・まちづくり・環境保護・国際協力など多岐にわたる。中国地方には都市、中山間地域ともに、さまざまな地域の課題が山積しており、中国地方でのNPOの特徴や可能性、問題点などを探る。
公的介護保険と地域
来年4月からの公的介護保険制度の本格稼動を控え、導入の準備が進められつつある現時点において、地域社会が抱えている問題、予想される課題、これからの解決に向けて対応方策などを考える。中国地方の場合、全国平均を上回って人口の高齢化が進んでおり、しかも中山間地域・過疎地のウエイトが高いことが特徴である。こういった条件不利地域において介護ビジネスが成り立つかどうかは、最も気になるところだ。
都市を変える軌道系交通機関
わが国は欧米に比べ、国土レベルでの高速鉄道の整備、大都市圏での地下鉄整備、さらに公共交通機関の経営自立性が総じて高いという点で実績はあるが、地方の都市交通における軌道系交通の充実度という点では、欧米に後れを取っている。都心に密度・集積を形成し賑わいを生み出すことが地方を支える中枢・中核都市の生き方であり、その基盤として軌道系交通機関を位置づけて、その可能性を探る。具体事例に岡山市、広島市における取り組みや考え方をみる。
都市の産業と地域の自立
地域経済を空間構成の側面からみると、たとえば中国地方では1995年時点で都市部の就業者が全体の77%を占めるなど、近年、経済活動の都市への集中が進む。中でも都市型産業の集積は、自己実現性の高い雇用機会や多様な消費・娯楽機会を提供し、地域の自立的発展のための原動力となる。都市空間の整備や都市施設の整備をはじめ、国際交流機能、高度情報化機能、芸術・文化機能の整備など、総合的な対策を図っていく必要があると考えられる。
地域における産学官連携
私立大学で産学(官)連携を推進しており、ほとんどの国立大学に地域共同研究センターが設置され、それぞれの地域に軸足を置いた産学(官)連携が進められている。ただ大学・研究機関の場合、地域とは関係なく普遍性が求められるため、特定の地域に焦点を絞った交流は難しい面があるようだ。しかし、新規産業の創出やベンチャービジネス振興への要望が強まり、産学(官)の交流・連携に関心が高まる。中国地方の大学・研究機関、行政の取り組みや、広域的な動きや課題を紹介する。
地方分権時代の地域シンクタンク
地域シンクタンクはたいていの場合、行政の「支援装置」にとどまり、学際的な政策分析を通じて地域の意思決定過程に参画しているとは必ずしもいえないのが実情である。これは、地方分権の遅れから地方行政そのものの政策形成能力などが制約されていることや地域シンクタンクの手法や質の問題をも含む。本格的な地方分権時代の到来に向けて、地域シンクタンクはどうあるべきか、中国総研の創立50周年にあわせ、自己反省と自戒の意味を込めて、そのあり方を考える。
地球環境と地域産業
企業が地球環境問題への取り組みを強めることによって、経済成長の制約につながるとの意見も依然としてみられる。しかし、地球環境への負荷の抑制・低減に配慮し、企業がその種のコストを内部化することは、企業が社会的責任や地球全体の持続的発展の維持というグローバルな視点からも不可欠だ。中国地方の産業が地球環境に配慮した研究開発と、ものづくりを進め、地域の競争力をつけ、世界の持続的発展にも貢献できる。「地球環境と地域産業」は現在、最も関心の高い課題のひとつである。
中山間地域のこれからの維持・管理方法を考える
現在、中山間地域の市町村は、全国では半数強の55%であるのに対し、中国地方では318市町村のうち245市町村、77%を占める。今後一層の過疎化、高齢化と人口減少が見込まれる中山間地域において、維持・管理の意義、グリーンツーリズム、過疎化に関する生活人口論的分析、集落単位でみた過疎地域の変容過程について、中国地方の5人の論者が論じる。
地域の国際競争力を考える
ボーダレス化、グローバル化が進展し、地方分権・規制緩和が進められようとしている。それぞれの地域と海外とのかかわりはますます密接になるだろう。中国地方においては四国地方と一体となって近隣ブロックならびに海外との交流・連携を積極的に促進しながら、自立的な中四国経済文化交流圏の形成をめざしている。地域の国際化の今日的意義、地域の国際競争力向上と地域連携のあり方、企業の国際化などについて中国地方に焦点を合わせた論考を紹介する。
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